タイトル:ハンドメイド作家さん向け記事:販売個数をあげる具体的方法!

~私たちの作品はどうしたらもっと売れるのか?【具体的行動編】~

「思ったように売れない。。。」、「売る準備はできたけど不安。。」、「自分の作ったものの値段っていくらが妥当なの?」など様々な不安を少しでも解決できる糸口をここで見つけていただき、みなさんの「もっと売りたい!」をお手伝いできるような情報を提供できればと思います。

みなさんの永遠の悩みである、「どうしたら今よりももっと販売個数を伸ばしていけるか!」について書いています。

第3回である今回は、「じゃあ、具体的に何をしたら買ってもらえるようになるのか?」という核心の部分を書いていきます。

 

では、前回記載した「消費者心理における7段階の購入までの道のり」に登場した7段階を復習していきます。

1.認知  2.興味  3.行動  4.比較  5.購買  6.利用  7.愛情

の段階を踏んでいる、ということを前回ご紹介しました。

それぞれの段階がどういう心理状態か、という内容に関しては、前回のコラムを確認していただくとして、「具体的に、何を、どのように、」販売側は気を付けるべきなのか。

それぞれ解説していきます。

 

~1.認知:どのように作品を知ってもらうか~

例えば、本屋さんに行くと、必ず売れている本などには、POP(ポップ)と呼ばれる広告、見出しが出ています。POPには、小さい紹介文などが書いてあることもあるので「何故売れているか」が一目見て分かるようになっています。

他にも、山積みをして目を引いていたり、「最新作!!」とか「本日発売!!」などが書かれた看板があったりしますよね。

店頭に置くような作品などは、それがあるだけで十分目立つのですが、ではウェブサイト上の目の前に作品がない状態では何が重要になるか。

お察しの方も多いとは思いますが、ビジュアル面である「作品の写真のクオリティ」ですね。

きれいな写真であればそれだけで目を引きます。撮影用の照明ライトなどあればぜひ使用していただきたいですね。作品の趣旨などでも変わってくるところではありますが、「部屋の中は明るいはずなのに、写真にしたら暗くなってしまう。。」といったことを防ぐとともに、照明の当てる角度や置き方によって作品の見え方が結構変わります。

また作品の大小や形状などによっても見え方を変えるので様々な撮影方法を試しましょう。

そして、数枚写真を撮ってみて吟味しましょう。加工するのもいいですが、まったく実物と違った色に見えてしまったりすると、作品の現物を初めて見たときに、「イメージと違う!」と返品希望されてしまうので、加工するならほどほどにしましょう。

もし写真を撮るのが苦手であれば、プロのカメラマンに頼んでみるのもいいでしょう。探してみると結構たくさん受けてくれる業者などが見つかります。

ウェブサイトのイメージをあらかじめ考えておくのも大切になりますね。ご自身のイメージに合った写真を使って「こんなに良いものが販売されているんだ!」というアピールをしましょう。

 

~2.興味:どうしたら作品に興味を持ってもらえるか~

「ウェブサイトを知ってもらえて認知はされているみたいだけど、ウェブサイトの商品詳細までは見てもらえていない。。。」という声をよく聞きます。

正直、作家さんのセンスと消費者側のセンスの不一致もあり得ますし、どうしたらいいか難しいところなのですが、まず確認すべき点としては、「出品されている作品のターゲットはどこか?」ということです。

勿論、「1.認知」で記載した写真もターゲットのことを考えて撮影するべきですし、その他にも、

・「ターゲット」のニーズに合っていそうなウェブサイトに出品されているか?
・「ターゲット」が見てくれそうな商品のカテゴリ分けなどがされているか?
・「ターゲット」が詳細を見たがるような見出しとなる売り文句が記載されているか?

といった事柄をはじめ、そもそも「ウェブサイトは分かりやすく作られているか?」といった部分も改めて見直す必要があるかもしれませんね。

ただ、様々な作品・商品をの販売経験がある筆者ですが、「何が消費者に興味を持たれるか?」というのは、千差万別なのでどんどん試行錯誤をしてみましょう。

「興味を持たれてないな。。」と思ったらすぐに改善作業に入ることをお勧めします。

 

~3.行動:どうしたら行動を起こしてもらえるか~

この場合の「行動」というのは、資料請求・問い合わせ・電話やメール連絡などを指しています。
SNSなどの場合は、ダイレクトメッセージを送ってくることも珍しくないでしょうし、店頭販売の場合は店員に話しかける、といったことも含まれます。もしくは、すぐに購入に移られる消費者の方もいらっしゃるかと思います。いわゆる衝動買いという場合ですね。

では、そういった行動を起こしてもらうには何が必要でしょうか。また何が行動を起こしにくくさせる障害になるのでしょうか。結論から言えば、「簡潔さ」を持たせることです。

例えば、
・ウェブサイト全体、もしくは作品の紹介文が分かりづらい。
・申し込み手順や問い合わせ手段が複雑。
が主に発生しうる「行動をおこしにくくさせる」要因となります。

例えば、「自分の作った作品だから、沢山紹介したいことがあるし、、、よし!あれもこれも紹介文に書いておけば全部言いたいことが伝えられるぞ!」と、全部書いたとします。

筆者の経験上ですが、とても文章が長くなると思います。
作家さん側で思いがこもってしまうのは承知していますが、そこはグッとこらえていただいて、消費者側も見やすいように、文章は1段落を多くても3~5行程度でまとめて書きましょう。

「せっかく興味持ったのに、問い合わせできない。。」ってすごく残念ですよね。

ぜひ、「簡潔さ」を見失わずに消費者側から一歩を踏み出せる環境づくりをしましょう。

 

~4.比較:どうしたら競合している作品から自分の作品を選んでもらえるか~

さて、難しい段階に入りました。

「類似した商品の中で、いかにして自分の作品を選んでもらうか。」

正直、これをクリアできれば経験上、95%は買ってもらえます。だって、「どれにしようかな?」と考えている時点で、「どれかは買う。」と決めているんですから。

今どきは、インターネットで他のウェブサイトなども見ながら、簡単に類似商品を調べて比較できてしまう世の中なので、厳しい時代になったと思います。

では、何が具体的には比較されているのでしょうか。

主なものをあげると、

①価格 ②品質・材質 ③信頼(クチコミ・レビュー含む) ④納期 ⑤カラーバリエーション

といったところでしょうか。

①「価格」

「売れるためなら安くします!」ということをする方がいますが、その作品を作った材料費を下回っちゃ意味ないですよね。材料費などのコストカットもいずれは必要かもしれませんが、まずは競合する作品がいくらで販売しているのか、という情報が必要です。

基本的には、「材料費+α」となるかと思いますが、記載方法によっては、配送料金なども混みにする場合もあるかもしれません。相場の金額をみながら値段をつけていきましょう。

例えば、材料費:500円の場合

販売の原価率は25%~35%が理想とされていますが、個人的には30~40%と思っています。
(今回の例の場合はおおよそ「1430~2000円」が理想の指標になります。)

最初のうちは、55%~60%(850~900円)でいいと思います。
※原価率というのは、「材料費の料金が販売価格の何%を占めるか。」というものです。

これから始める方などは、相場である1000円を少し下回る850~900円くらいの値段をつけておいて人気が出てきて販売数が増えてきたら少しずつ値段を上げていくといいと思います。

人気が出てくる=ブランド力がついているので、少し金額を上げても売れてしまいます。

原価率という指標は、値段をつける指標として知っておくと何かと便利で、「この作品は良い値段が付いているけど、他のものと比べて高いのか?安いのか?」という指標になり、「高いなら材料費が高いのか?」など様々な目安を教えてくれます。

 

②品質・材料

品質に関しては、まずウェブサイト側に載っている写真と異なる形で作ることは、当たり前ですが避けましょう。心を込めてつくりましょう。

特にピアスなどの衛生面に気を付けなければいけない部分はしっかりと消毒する必要があるかもしれません。使用していただく人のことをよく考えた作品にしていきましょう。

材料に関しては、消費者側に合わせることは難しいので、表記の問題になるかと思いますが、金属素材を使用される方や、漆を利用されて作品を作られる場合は、何かしらの表記をしておくと、その材料に対してアレルギーを持っている方が間違えて購入することをふせぐことができます。

そういった誤購入をされないように紹介文・詳細部分は配慮しましょう。

時々、サイズ感が記載されていないウェブサイトなどが見受けられるので、しっかりとサイズ感の分かる文章を記載するか、寸法をしっかり記載しておくのを忘れないようにしましょう。

また前回のコラムで記載していた「ターゲット」をしっかり記載しておくことも重要です。
どういった方にあった作品なのかも一言添えてあると購入されやすいでしょう。

 

③信頼

ここに関しては、購入いただかないと何とも良さをお伝えいただきにくいことになるので難しいのですが、純粋に、ただ良い対応をすればいいだけではなく、レビュー・評価の確認が必須ですね。

もし、販売された後のお問い合わせなどがあればそちらにも、真摯に対応していくべきです。
しかしながら、全てにおいて「YES」という答えになってしまうと、無駄な負担になってしまうことがありますので、問い合わせの内容については一度吟味してみる必要はあります。

ここに関しては、後ほど「6.利用:作家・作品を気に入ってもらうには~」という部分ともつながってきますので、そちらも一緒に読んでいただければと思います。

 

④納期

販売されてから消費者の手元に届くまでの日数も重要な比較対象になります。基本的には、発送は早いと翌日には届くとは思いますが、道路交通状況などにも左右されてしまいます。

特に、ハンドメイドの作品というのは、急な注文が発生しうる場合は急いで作っても最短でも数日はかかってしまうものですし、大きいと月単位などになってしまうかもしれません。

在庫管理をしたうえで、ウェブサイトに記載している納期に関して、在庫がなくなっているのに納期が「翌日到着可能!」とか記載されていると大変な目にあってしまうので気をつけて、見栄は張りすぎない程度の記載にしておきましょう。

特に始めたばかりの人は、すぐに発送できる作品をいくつか作成してからウェブサイトなどに掲載しておくことをおすすめします。

可能であれば、在庫がなくなってしまっていたとしても「注文承ります。」などの一文の掲載をしてみると、消費者の方がその場で購入していただくことがあるかもしれません。

 

⑤バリエーション

特に小物の場合ですが、1種類で1色しかないものよりも、いくつか種類があって色もいくつかあれば、その分だけ消費者側に幅が広がりますよね。

ただし、「選択回避の法則」というものがこの世には存在します。

これは、「人間は選択肢が増えすぎる(4種類以上)と、何も選ばないという選択肢が生まれてしまう。」というもので、沢山あると迷ってしまいますよね。優柔不断な方なら尚更です。

基本的には同じ作品は、作っても3色までと決めてしまいましょう。そうしておけば、バラバラで販売するのも、3色1セットとして販売するのも切り替えが楽になりますし、管理もしやすいと思います。

もしくは、「松竹梅の法則」というものもあり、「バリエーションを3パターンに分けてしまう。」というものです。

簡単に言うと、「低価格・普通の価格・高価格」の3パターンを作っておくというもの。

例えば、分かりやすく1点300円のものを以下の3パターンに分けるとします。

(松)7点セット 2000円  (竹)5点セット 1480円  (梅)3点セット 800円

作品が大きいものの場合は、使用している素材の入手難度・入手金額で分けてもいいでしょう。
それぞれおおよその割合ですが、「3:5:2」で売れていくといわれています。

※ただし、サイズが大きい作品の場合に限り、1点1種類しか販売しない。とするのも「アリ」だと筆者は考えています。その方が、専門性が高いと判断されやすく、同じ種類の作品を購入される際はまた同じ場所・同じ店で購入されることが多いからです。
「〇〇で困ったら、あの店で買う」という意識を消費者側にしてもらいましょう。

注意点としては、「サイズの大中小で分けてはいけない」ということです。
サイズが違ったら値段が変わるのは当然だからです。「大中小」と「松竹梅」を混在しないようにしてください。

たくさん種類を増やすのは作家さん・消費者側の両方にとってよくない、ということを覚えておいてください。

 

~5.購買:作品を利用していただくときには~

さて、類似した作品を比較検討していただいた結果、見事に選んで購入いただけました。

店頭の販売は、この時点できっと消費者側から質問などがあったうえで購入されているかと思いますが、インターネット販売の場合は直接購入者とやり取りをせずに取引が始まることも多いですよね。

購入されたからと言って終わりだと思ってはいけません。間違えたら信用ガタ落ちです。
というのも、インターネットにて購入頂いた方には向けて作品の発送をしますよね。

作品が大きくても小さくても、包装・梱包して無事に届けなくてはいけません。
基本的には、配送業者に頼むと思うのですが、伝票などを記載する際に、「コワレモノ」とか記載をしないと、少しでも雑な配送をされると、梱包箱の中で壊れていたりします。

あとは、配送先の住所を間違えないようにするなど、基本的なことも抜かりないように!

心配であれば、配送業者の荷物追跡サービスなどを確認できていると安心感が増すと思います。

また、振込先の確認など詳細情報に漏れがないか確認した上で消費者側にも正確に情報が届いているか確認しておきましょう。

アンケートやクチコミでは、購入後の対応についてよく記載があるのが目に入ることが多いので細かい部分にまで気を配りましょう。

 

~6.利用:作家・作品を気に入ってもらうには~

ここで筆者が、数年前にまだ作品販売をしていた頃に消費者の方から実際にいただいたお声のいくつかをご紹介させていただきます。

・安かったのでお試しで買ってみたが、良いものだったから数点追加で購入したい!
・色とりどりの作品があって鮮やかだったのですが、多すぎて迷ってしまいました。結果的に3
色の作品を1点ずつ購入したのですが、セット販売のものがあったら良かった。
・金属アレルギーの人にあげられる作品を増やしてもらえたらうれしい。

などなど。こういったお声をいかに判断するか。筆者は大変迷いました。

実際に購入いただいたお声をもとに、先ほど書いた「バリエーション」についても実際に検討しましたし、新たに増やした作品、作らなくなった作品、もしくは注文時のみにお時間をいただいて作成したものなど、色々と試行錯誤をしていました。その結果、感謝のお声をいただく機会が増え収入も増えていきました。どれくらい収入が増えたか、というのは正確には記載しませんが、月平均で250%ほど増えました。

また、これらはすべての作品を発送する際にアンケート用紙、消費者の方に返送していただいたものになります。(返信先は、住所ではなく当時利用していた私書箱になります。)

最近であれば、念のため自作名刺を入れておき、記載したメールアドレスに連絡をいただくようにするのがいいのではないのでしょうか。

いただいた全てのアンケートに良いことが書かれていたわけではなく、もちろん「使いづらかった。」とか「返品したい。」とかといった連絡も来ます。
問い合わせ内容にもよりますが、真摯に対応していければ、そういったお声をいただいた方の方がリピーターになっていただきやすいです。

みなさんも、「何かあったときでも、しっかりと対応してくれたから、またあそこで買おう。」という気持ちが分かっていただけると思います。

 

~7.愛情:リピーターになっていただく、他人にも紹介してもらえるには~

最後に、「どうしたらリピーターになっていただけるか、購入者経由で他人に紹介してもらえるか」になります。

「リピーターになっていただける」というのは、作家さんにファンがついたということですね。
ファンの方というのは、作家さんのファンであるとともに、作品のファンであるということ。

となれば、また買いに来てくれる可能性が高く、また他の知人などに買った作品のことを広めてくれる可能性が高いわけです。

では、どうやったら広めてもらえるのか。

近年は、SNSなどで「いいね!」や「リツイート」をすると、友達として登録されている方にそのお店の情報が広められるようになっていたりしますよね。それだけでも十分に紹介してもらえていると思います。

また特に店頭販売などの場合だと、名刺などを一緒にお渡ししておくと、後々にも連絡をいただきやすくなりますので、ご一考いただく価値はあると思います。

また名刺の利点は他にもあり、私見にはなりますが、特に年配の方にお渡しすると、直接知人の方に名刺を見せてお話しされている場合もあるようです。

凝ったものではなくてシンプルなもので構いませんので、作ってみるのはいかがでしょうか。
筆者の名刺は、簡単なデザインに氏名・メールアドレスを記載したシンプルなものです。

 

~最後に~

ですが、作家さん側からすれば、ここまで来るのは大変な苦労であろうと思います。
しかしながら、ここまで来ないとリピーター・ファンにはなってもらえないです。

できるなら、そういった消費者の方を増やして作家さんも消費者さんも嬉しくなる作品販売をするのが一番の理想ですよね。

 

大変長くなりましたが、全3回にわたって書かせていただいた「~私たちの作品はどうしたらもっと売れるのか?~」は今回で一度終わりとさせていただきます。

ここまでお読みいただきありがとうございました。